びーさん　　～Boujaku Bujin Blog～

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1998年夏、とりは普通自動二輪免許を取得した。

これはゼファー君ととりの過酷にも壮絶な物語のその後。





ゼファー君がいなくなり、その日のうちに宇都宮に帰ったとり。

２～３日途方に暮れたあと、いきつけのバイク屋さんへ行った。



｢バイク盗まれちゃいました－｣

｢な！どこで！｣


　｢仙台でですー｣



｢やられたかー。盗難届は出したか？｣

　｢出しました－（半泣き）｣



｢うーん、でも見つからねぇかもな－。見つかってもかわいそうな事になってるかもよ。｣

｢うう｣



｢まぁひとまず待ってみて、そのうち気がむいたら廃車手続きしよう。｣

　｢はぁ｣



｢どこのアホが乗ってっかわかんねーバイクの税金払ったってしょうがないしな。｣

｢そうですね｣





　バイク屋さんにも発見は絶望的といわれてしまった。

もうとりはゼファー君と再会することはないのだ。とりの目に涙が滲む。




しかし一筋の希望が残されていた。



ゼファー君購入・・・９月

　　↓

ゼファー君盗難・・・８月

　　↓

盗難保険有効期限・・・１年

　　↓

バイクが買える！







ゼファー君が最後に残した、言うなれば｢遺産｣である。

神がかり的なスピードであらゆる被害にあってきた二人にとって

まさに不幸中の幸い。





　｢大事に使って、僕の弟を選んでね｣



ゼファー君の遺言が聞こえてきそうである。



　｢うん、僕慎重に選ぶよ！大事に選ぶよ！｣



とりはゼファー君を購入した店に連絡をとり、新しいバイクを購入しに行った。





　上野に着いたとりは、以前ゼファー君を購入したのと同じバイク店に足を向けた。

今日の目的は下調べ。

ゼファー君の遺言どおり、焦って決めたりはしない。

じっくり選んで弟を決めるんだ。





　バイク店を物色するとり。様々なバイクが並んでいるが、どうもピンとこない。

さすがにまたゼファーを買う気にはなれず、

しかしバイクの知識が薄いとりにとってはどうしても知ってるバイクに目がいってしまう。



知ってるバイクを１台見つけた。ＳＵＺＵＫＩの「ＢＡＮＤＩＴ」。

なかなか速いバイクだ。しかし見た目がかっこ悪い。

とりの趣味ではないのだ。





やっぱりだめか。次の店にでも行こうか。

と、そう思ってＢＡＮＤＩＴの隣のバイクに目をやった。

ＢＡＮＤＩＴ　ＬＴＤ

ＳＵＺＵＫＩの９０周年記念モデルらしい。

見た目もノーマルより良い。色は．．．黒＋ゼファー君と同じ赤。







「あ、いいんじゃん？これで」

ゼファー君の遺言どこへやら、即決。





その後、１月に廃車手続きをしてゼファー君とは完全に縁が切れました。

今残っているのは吹っ飛んだフロントタイヤカバーのみ。

思えば見つからなかった方がよかったかもしれない。

きっと

リアシートのあたりに長いものがついてたり

日の丸みたいなものが描かれてたり

趣味の悪い色に変わっていたり

してるでしょう。





かたやあっという間に決定した弟分、バンディットＬＴＤのバンド君。

現在購入から２年経ちましたが、１度ジコった程度で元気に走ってます。



まぁ、最近は車ばっかり乗っててほったらかしですけどね。




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そして社会人になってバンディット君は売られたのですが
売値が-5000円という悲劇