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1998年夏、とりは普通自動二輪免許を取得した。
これはゼファー君ととりの過酷にも壮絶な物語。
1999年晩春の5月、無事に盗まれたパーツも入れ替えて、ゼファー君は絶好調でした。
「ブオオオン(とりぃ、今日も走ろうよぉ)」 「いやー、今日はアンマリのり気じゃないなぁ」 5月ともなると宇都宮では名物、夕立&雷が始まる頃です。
黒雲が西の空に見えたり、昼間やけにカラッと晴れて暑かったりすると
とりは少しビビッて走りたがりませんでした。
「ブブボォ(フン、なんだい根性なし!)」 「そんなこというなよー。転んだら痛いじゃんかー」
君を治すのにもお金がかかるんだよ。とりは心の中でつぶやいた。
そんなある日、とりが部屋でおもいっきりテレビを見ながらみのもんたのマネをしていると
寮の先輩ヒロさんがやってきました。
ヒロさんは大型バイク免許を持っていて
とりよりも学年は2個上でしたが見た目は二桁違うくらいです。
「とりぃ、今日バイク使う?」 「いえ、別に用事はないっすけど。何でですか?」 「いや、学校に用があって行きたいんだけど、バイク貸してくんね-かな」 寮から学校(峰キャンパス)までは約2キロ弱。たいした距離ではありません。
最近ゼファー君と遊んであげなかったとりは
ヒロさんと一緒に走らせてあげることにしました。
「どうせヒロさんならまっすぐ帰ってこないだろうし、ゼファー君も喜ぶだろう。」 とりは二つ返事で快諾し、二人でゼファー君の元へむかいました。
「ゼファー君、今日はヒロさんを乗っけてあげてよ」 「ブオン、ウァンウァン!(勿論いいよ!腕がなるなぁ)」 「じゃ、帰ってきたら部屋にカギもってくから」
「よろしくお願いします。行ってらっしゃい」 とりは部屋に帰ってごきげんようを観ました。
夕方5時。今日は夕立はなさそうです。二人はまだ帰ってきません。
「どこまでいったんだろ。ゼファー君ちゃんとご飯(ガソリン)もらってるかな」 6時半。おかしい。遅すぎる。
いくらヒロさんでも、
「学校に用事がある」と言ってこんなに人のバイクを乗り回すものか。
いや、でもヒロさんならありえる。
そんなことをいろいろ考えていたその時、
とりの部屋のドアが
ガチャッ っとあきました。ヒロさんです。
「ああ、お帰りなさい。どこまで行ってきたんですか?
いくら僕のゼファー君が乗りやすいっからって…」
そこまで行ってとりはヒロさんの顔を見ました。
なんだか憔悴しきっています。
ヒロさんとあろう者がバイクに乗ってこんなに疲れるのか?
その時ヒロさんの口から発せられた言葉は
「わりぃ、コケタ」
なぁぁぁぁにいいいいぃぃぃ!!?? よく見るとヒロさんは何かを握っています。
よく見るとそれはゼファー君のブレーキレバーではありませんか!
この人はどんだけハードにコケたんだぁ! 急いでゼファー君のところに駆けつけます。
「ゼ、ゼファ…」 絶句。ゼファー君右半身大きく損傷。
マフラーに傷があります。
ブレーキレバーはヒロさんの手にもたれています。
右足を乗せるところが次元の彼方に消えています。 ぎゃあああああああぁぁぁぁ ヒロさんの証言:
いやぁ、峰(キャンパス)を出るところで右折しようとしたらコケてさぁ
ちょうど近くにいた砂庭(とりと同学年。バイク乗らない)
に手伝わせて押してきたんだよ。
そんで時間くっちゃって
アンサー:
・
あんなところでどんな曲がり方したらこうなるんですか?
是非教えてください
・
二人がかりで2キロ程度押してくるのに
4時間も5時間もかかるんですか? 今度その押し方教えてください
哀れゼファー君、またまた入院。
1999年晩春。二人の春はまだ来ない
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折れたブレーキレバーはしばらくお守りとして持ってましたが
よく考えるとこれほど縁起でもないお守りもないね。
ちなみにヒロさんは卒業後レッド○ロンで働いてました。
みのもんたのマネをしながら。
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名前を聞いて情景が思い浮かびました。
とり君の凹む様子も想像できます・・(苦笑)
色々な人に貢献していたんですね、バイクのゼファー君。